屋久島に住み着いてからというものテレビを全く見なくなってしまった。フィクションの映画よりエキサイティングなノンフィクションの「本物」映画が島のあちこちで日々上映されているからだ。
チャンネル数は今の所、僕の知る限りで50ほどだろうか。この島にはきっと1億チャンネルはあるだろうと薄々感づいているが、生涯網羅することは到底できないとも薄々感づいてしまっている。
この島は海岸部にしか道がなく、険しくそそり立つ山岳の中心部に行くまでには原始的な徒歩のみとなってしまう。衣服、食料、家、燃料をザックに詰め込んで旅をしないと屋久島の映画館にはたどり着かない。衣食住丸ごと連れて行かないといけない。
便利すぎるこの日本において、なんて不便で汗を必要とする遊びなんだろう。
だけど、それがたまらなくいい。
この大空いっぱいに広がる特大のスクリーンに映し出されるムービーが始まった瞬間、これまでの疲れはチャラになってしまう。そして、全てのネガティブな情念は宇宙へと消え去り、この星の自然はポジティブな事象しか起きないと気づかされる。
Which TV do you watch in your precious life ?