屋久島写真家&現地ガイドの目線で黒味岳登山のトレッキングコースの魅力を紹介するページです。豊富な写真を使って、黒味岳の見どころやおすすめポイントをまとめています。屋久島に来たらこの山だけは是非登ってほしい山です。ガイドを雇うと高額なガイド代がかかってしまうので、学生やバックパッカーの方にとったらガイドを雇うことはきついこと、自分の過去を振り返るとよく理解できます。なので、ガイドなしで一人で登る方にも参考になるよう細かく解説しています。長文がわずらわしい方は、文字は読まずに写真だけをサクサクとご覧ください。黒味岳の魅力が伝わりやすく楽しんでもらえるよう写真を選んでいますので。

黒味岳ってどんな山?

現地ガイドの多くがおすすめする山ナンバーワンが黒味岳ではないでしょうか。世界自然遺産に登録されている太古の森をぬけ、森林限界を超えると天空の世界が。森と展望を望める変化に富んだトレッキング・トレイルなので楽しみながら山頂まで目指せます。

江戸時代にまとめられた『屋久島大絵図』には黒御岳と記載されていますが、なぜか今は黒「味」岳という漢字があてられています。昔の「御」岳という呼称は、屋久島では崇拝の対象とされる高峰につけられているそうです。なので黒味岳は屋久島では神聖なるお山の一つということになります。登頂されたら、きっとその意味が実感としてわかってもらえると思います。

上の写真は黒味岳の山頂です。山頂からは九州最高峰の宮之浦岳(写真右)、ナンバー2の永田岳(写真中)を望むことができます。写真を見ての通り、登りつめた感覚では、宮之浦岳より高いナンバーワンの山かと錯覚してしまうほどの迫力です。この巨石の先端に立って大パノラマの展望を360度見渡した時の感動といったら。。。個人的には、宮之浦岳より好きな山で、ダイナミックで壮大な風景が広がっています。

 

黒味岳山頂にて。運がいいと雲海が広がることも。

山と高原地図でのコースタイムでは淀川登山口から出発しておよそ3時間15分で黒味岳に登頂できると記載されていますが、途中の世界自然遺産に登録されている森と沢が素晴らしく美しいので、休憩や写真撮影の時間をたっぷりとって、当店では5時間ぐらいかけてじっくり登りつめます(スピーディにピークハントしたい方は、その旨お知らせください)。夏以外の春、秋、冬は休憩していると寒くなるので、もう少し早くなります。夏は昼前から山頂は雲がかかりやすくなるので、早朝に出発することをお勧めしています。これまでの経験ですと、午前10時過ぎに山頂にたどり着いていれば高確率で展望をのぞめます。早朝に出発し日帰りで里に降りる場合は、行きはテンポよく歩き、帰りにのんびり時間をかけて下山すると、山頂の展望も森も両方満喫できておすすめです。トレッキング時間はおよそ10時間。往復8.2km、標高差は1360~1831m。ガイドなしでも道に迷うことはほとんどない登山道がしっかりしているルートです。以下、日帰りの黒味岳登山の行程を写真をまじえて紹介します。

 

黒味岳までの道のり

安房集落から車で50分ほど走らせると淀川登山口に到着します。ガイド依頼されてる方は、ガイドの車で。早朝はバスがない!ので、ガイドなしの方はタクシーかレンタカーで行くことになります。早朝に1本だけでもいいから路線バスが淀川登山口まで行ってくれたら、ソロの登山者はとても助かるのに・・・一人の屋久島山好きとして申し訳ない気持ちにいつもなります。

登山口にはトイレがあります。ガイドなしの方は、ここで登山届けを提出しましょう。2017年より登山口にて山岳部環境保全協力金の納入のお願いをしています。詳しくは、屋久島山岳部保全利用協議会のページへ。マイカーでお越しの方は、大型のバスの通行に配慮して縦列駐車してください。出発前に是非、深呼吸してみてください(できるだけトイレから離れて。笑)。 たっぷり鼻から空気を吸い込むと、森の涼しい空気が鼻の中をひんやりさせてくれて気持ちいいです。そして、爽快な森の香りが鼻の中に充満して幸せな気分になれると思います。しばらく深呼吸して都会のザワザワがなくなったら、登山スタートッ!

 

早朝スタートなので運が良ければ、林内で朝日を浴びることも。当店では朝日を浴びることをとても大切にしていて、写真のような瞬間があったら、旅人さんが満足するまでしっかりサンライズタイムを確保します。ある旅人さんに、そのことを言ったら「自分がずっと眺めていたいんでしょ」と言われてしましました。笑 正解っ! 森の中で見るオレンジ色の太陽の光は、森を一気に幻想的な世界にして人を幸せな気持ちにさせてしまう魔法のようなもので、その時間をマジックアワーというそうです。

 

歩きはじめてしばらくするとこんな雰囲気の森が。

 

淀川登山口を出発して1時間ほどでたどり着く淀川。屋久島でトップクラスに美しい沢です。飲み水を補給できます。ここには淀川小屋があり汲み取りのトイレがあります。トイレはここが最後なので、利用したいところです。ここから先は携帯トイレを使用することになります。そして、ここから急な登りが1時間30分〜2時間ほど続きますので、しばしこの清流で火照った体をクールダウンして休憩するのがおすすめです。体力が回復したら、のんびりマイペースで登りましょう。

淀川の沢登りは当店イチオシの遊びです。標高が高い冷たい沢なので9月上旬までがオススメです。

 

急な登りに心が折れそうになりますが、途中顔を見上げると心おどる巨木が結構あります。上の写真は僕のお気に入りの巨木のうちの1本です。当店のガイドと歩くメリットの1つとして、名も付いていない見過ごしてしまいがちな無名の木に気づけるできるチャンスが増えます。ガイドなしではなかなか気づけない小さなコケから巨木まで、植物の不思議やたくましさを驚きを交えて解説しながら、標高を上げていきます。

 

この小刻みのガイド解説が、疲れない登山のペース配分を実は生んでます。話す回数と時間、内容を当店のガイドは、旅人さんの体力と趣向に合わせて、選定してインタープリターしています。黒味岳のルートで一番精神的にも体力的にもしんどいこの登りを、ネガティブな念を抱かずにさらっと楽しく登れるか、ガイドの腕が試されるゾーンでもあります。ネガティブになってきたら、遠慮なくその旨お伝えください。笑

 

高盤岳のトウフ岩が見えてきたらきつい登りもあと少し。あがった息を整え休憩しながら、なぜこんなに綺麗に岩が割れたのか、太古の屋久島に思いをはせるのも面白いです。科学的には方状節理という現象で割れたとされていますが、太古の時代に、屋久島のカミ様がやったと信じている人も。自然の中は、答えのない「なぜ?」がたくさんあって、みんなで想像を膨らませて空想の話をしてると、不思議と笑い話になっていって山登りに花が咲きます。科学的な詳しい解説はガイドの時に。

 

「なんで◯◯◯なんだろう」に対する科学的な解説を聞けるのも、ガイドを雇う魅力の一つです。

 

急な登りを終え、無名の小ピークにある展望所に立ち寄ると、天気が良ければ黒味岳が一望できます。新緑の季節に来ると(写真は2017年5月21日)色とりどりの緑の樹海が壮大で、赤い葉柄(葉っぱと枝をつないでる棒のような部分)が特徴的なユズリハの新緑ロードは、一見の価値があります。

展望台からは久しぶりの下りが続きます。5〜10分ぐらい歩くと突然視界が広がります。小花之江河という高層湿原に到着です。緑の絨毯が広がりとても気持ちがいい場所です。

 

この日は鹿が7頭いました。そこまでたくさんいることはまれですが、数頭でしたらかなりの確率で出会っているので、鹿好きの人はじっくり時間をつくって鹿の登場を待ちたいところです。晴天だと、トウフ岩が鎮座する高盤岳を背景に作品作りができます。

 

この湿原の名物といえばヒキガエル。ここが産卵場所になっていて春になるとたくさんのカエルが交尾のために集まってきます。そして、卵が孵化すると無数のカエルの赤ちゃんたちが。カエル好きの人は大喜び。苦手な人は悲鳴をあげたい放題です。笑 写真は2017年7月13日に撮影。

 

水辺は生きものよりどころなのでしょう。羽化したばかりと思われるオニヤンマが小雨降る中、木道脇にひっそりと佇んでいました。ハネがくちゃくちゃでびしょ濡れだけど、大丈夫かなあ。他の生きものに思いをはせる時間もまた山登りの魅力の一つだと思っています。写真は2017年7月13日に撮影。

 

登山靴は湿原を痛めやすいので、木道から外れないよう進みましょう。雲がなければ進行方向に黒味岳が見えます(写真の青い矢印)。

 

10分ほど歩くと、より大きな高層湿原、花之江河に到着します。夏は青々とした湿原ですが秋になると写真のように一面茶色になります。見晴らしがとても良い場所です。無風でぽかぽか陽気だったら休憩、食事、お昼寝に最適です。ただ、夏は日陰がないので、紫外線にご注意を。

 

花之江河も鹿の多いところ。今までの遭遇率は40%ぐらいでしょうか。かなりの高確率で出会っているので、写真のように間近で撮影できるチャンスをものにできるかもしれません。

 

この湿原で一度、オス同士の戦いを目撃したことがあります。その時の写真がハードディスクのブラックホールへ、、、紹介できないのが残念です。。。この湿原から5分ほど歩いた場所に最後の水場があります。特に水場と記載されてないので、小さな沢がちょろちょろあったら水を補給しておきましょう。花之江河から15分で「黒味別れ」という分岐点が出てきます。そこを左折すると、山頂までいよいよおよそ45分ほど。ここから登りがかなり急になっていきます。

 

急な岩場が点在していて、合計5つ(だったかな?)ロープ場があります。3つ目のロープ場からは徐々に見晴らしが良くなっていきます。

 

ここからは高山植物の宝庫です。花好きにはたまらないゾーンです。写真はミツバツツジです。4月下旬〜5月中旬に登ると山頂付近でよく咲いてます。他の高山植物も見てみたい方は高山植物フォトギャラリーをご覧ください。上の写真は2015年5月8日に撮影。4月下旬から10月中旬ぐらいまでは高山植物のシーズンで、足元を注意深く見ていると小さな花があちこちに。マクロの世界に夢中になっているとあっという間に山頂に着いちゃいます。でも、時おり顔を見上げることをお忘れなく。人工物のない美しき原生の樹海が広がっていますので。

 

写真右下に鹿がいるのわかりますか。山頂付近でも鹿に会うことが結構多いです。

 

山頂間近は、もう景色が良すぎて興奮しまくりです!

 

屋久島には「シャクナゲ登山」という言葉があるほど屋久島では人気のある花です。高山植物の中ではピカイチにゴージャスな花です。この花は色を変化させる面白い木で、咲き初めは赤なのですが、時間が経つにつれて花びらが白くなっていきます。写真を見てもらうとツボミは赤が強くて、開いている花は赤みが薄くなっているのがわかってもらえると思います。5月下旬から6月中旬が花期なので、是非この時期を狙ってみてください。上の写真は2013年5月25日に撮影。

 

さあ、いよいよ山頂風景のご紹介です!

 

ガイド修行中に頭に叩き込まされた格言をここで一つご紹介。それは「大自然を前にした時は、沈黙が何よりの雄弁」 もうガイド解説は不要で邪魔な領域です。

黒味岳は2つのピークがある細長い山頂になっていて、どこにいても展望が良く、高度感があってスリルのある飽きのこない山頂です。

雲が多いと雲が風景を躍動的に変化させて、感動が倍増されます。

 

山は天気が変わりやすいので、呼吸するのもままならないぐらい風が吹いていたり、真っ白で何も見えなかったり、山頂に登れないほど吹き荒れることも。

 

もし、幸運にも無風でぽかぽか陽気だったら、是非心のゆくまではしゃいで、叫んで、物思いにふけって、ガイドはシカトして(笑)「自分だけの」ための時間を過ごしてみてください。多くの屋久島人たちに「あの山は最高!」と言わせる極上の山頂世界、たっぷり堪能しちゃってください!

 

あ、言い忘れてました。あと、昼寝も是非っ! 里のビールが恋しくなる感情をぐっとこらえて、登山靴を脱いで山に寝っ転がってみてください。あまりの気持ちよさに、思わずニヤニヤしてしまう自分にニヤニヤしてしまって、、、そんな自分を客観的に見るとまたニヤニヤが、、、笑  もう山の昼寝は最幸です。

というわけで、本当にいいお山なので、是非是非登ってみてください。

 

黒味岳をもっともっと楽しむ山の登り方

これまでは、日帰りの黒味岳を紹介してきましたが、当店では黒味岳でご来光をねらう1泊2日の山旅をおすすめしています。なぜ山泊まりの方が黒味岳を満喫できるのか、その理由は「山泊まりへのこだわり」「黒味岳サンライズトレッキング」に詳しく書かせてもらっているので、ぜひご覧ください。

空がオレンジ色に染まる数分しかないマジックアワー。まさに魔法にかかったように今までの山が別世界へと。とても神秘的でエキサイティングな一期一会です。

 

1泊にすれば、雲海に出会えることも。これまでの経験だと雲海は早朝と夕方に広がる確率が高いです。日中にはなかなかお目にかかれません。