山泊まりへのこだわり

当店は、縄文杉と白谷雲水峡の2大観光スポットを日帰りで混雑する中、商業的に(商業的でなければ両方素敵な森です)急ぎ足で案内することに疑問を感じ、ガイド自身も心の芯から楽しめ、お客さんと一緒になって感動体験を共有できる旅を思考錯誤しながら創造し続け、10年の年月をかけて練りこんで生まれた山泊をこよなく愛するトレッキングガイド会社です。

なぜ山泊まりにこだわるかというと、日帰りだと、屋久島の壮大な魅力を伝えることが、いや正確に言うなら、お客さんが屋久島の深部の森と山岳のみに存在する独特の魅力に自らの感性で気づくことがとても難しいと実感したからです。日帰りだと、その神秘のゾーンにいる滞在時間がとても短いのです。例えば3日間で黒味岳、白谷雲水峡、太忠岳に行ったとします。どこの森も山も頑張って登りつめた先にある世界は、最高級の素晴らしい自然が広がっていますが、帰路のことを考えると滞在時間はとても短く、落ち着いてじっくり堪能することは正直難しいです。しかし、その短い滞在時間でももちろん感動的ではあります。心の中で、森との化学反応が起こって心にも体にも小さな変化が訪れると思います。それは2日目、3日目と少しづつ増幅していくのは間違いないのですが、ホテルや民宿に毎回戻るたびに、それはまるで一度都会に還ったような感覚になって、その小さな内なる変化が一旦リセットされてしまうといったらいいのか、、、。何か振り出しに戻ったかのような感覚になります。1日目に宿に送り届けたお客さんの顔が、2日目の朝には1日目の森に行く前の表情に戻ってしまっている体験を何度もしました。

宿に帰らず、布一枚(テント)隔てた向こうには静寂の闇が広がっている環境で細々とシンプルな料理をみんなで作り、一つの小さな明かり(ランタン)を囲って、山で過ごす時、人は皆謙虚になっていき、巣の中で素の自分になっていきます。その時、大きな気づきが訪れます。その気づきがもたらした変化はとてもエキサイティングで心地がよくて、新鮮なものです。そんな山の夜を過ごし、眠り、目覚め、翌日山を歩くと、初日には気づかなかったことが不思議と気づけるようになっていきます。その気づきの連鎖は喜びと楽しさをどんどん心に運んできてくれます。そして、心が「何か」で満たされていくのを感じると思います。その満たされ具合が日帰りとでは比べものになりません。山泊まりにはそんな魅力があります。屋久島の自然をより満喫しようとする屋久島リピーターの方の多くが、山泊まりスタイルに移行していきます。日帰りだと感動が浅いんです、山泊まりと比べてしまうと。だから、当店は山泊まりに長年磨きをかけてきました。 衣食住を全てザックにしょいこんで(燃料も!)、太古から屋久島の深〜いところに存在しているシンプルな世界を冒険しましょう! ザックに入るだけのモノと仲間がさえいれば人は本当は生きていける。そんなスピリッツも伝わったら嬉しいなあと思っています。以上のコンセプトを掲げて日帰りのトレッキングも極力山泊のような感動体験が得られるよう努めています。

そんな少しマニアックな当店は、以下のニーズをお持ちの方のために存在しています。また、それらが当店の特化した専門分野となっています。

●日帰りの山登りは慣れてきたから、山に泊まって登山をしてみたいけど、一人じゃちょっと不安だし、泊まりの時の装備や注意点をプロに聞きながら覚えていきたいな。

山といったら御来光っ!でも屋久島の山でどうやったら朝日や夕日を見れるのかな?

●屋久島の旅をきっかけに、トレッキングをしながら写真技術のレベルアップを図りたいな。そのために、カメラの設定知識や撮影ポイントの選定からパソコンでの写真編集、現像までを一貫して教えてくれるガイドっていないのかな。

●生涯一度の屋久島旅行。プロのカメラマンに撮影してもらいながらトレッキングを満喫して、最幸な思い出をしっかりとした写真に残したい

●屋久島の沢はとても綺麗だから、沢登りとトレッキングをミックスさせた山登りってできないのかな。

●みんなが感動する人気の観光スポットは行ってみたいけど、そういう名所は常に人が多いんだよなあ、連休になると泊して縄文杉に会いに行っても人が多いみたいだから、縄文杉なら2泊、白谷雲水峡なら1泊することで人のいない貸切の状態をつくれないかな。

●ネット上では屋久島のガイド会社のホームページがたくさん。でも、ツアーの内容はどこも似たり寄ったり。日帰りの黒味岳に太忠岳、ヤクスギランドに西部林道・・・(もちろん全て素敵な山と森です)。屋久島には何度も来ていて、もうそこらへんのツアーは行き尽くして、もっと違う次元で屋久島の山と森をディープに旅できないかな。

●せっかく遠い屋久島にきたのに1泊の山泊では勿体無い!2泊、3泊、4泊と長期で山を旅してみたい!

当店では、有名な山の頂に立つことや、名所の美しい場所まで案内すること以上に、山や森で「どう時間をすごす(暮らす)か」に重きをおいた旅をコーディネートしています。瞬間瞬間のお客さんの湧きでる思いを尊重しながら、その思いがより良い思いの源泉になるようあの手この手で旅のスタイルを変化させていきます。なので、トレッキング中に昼寝したり、裸足になってみたり、沢に飛び込んでみたり、楽器を奏でたり、無駄に?お茶タイムが連発したり、途中で目的だった山行くのをやめてしまったり、、、いろんなことが起きます。

そして、ガイドでも予想できない旅が創造されていきます。お客さんの感性は十人十色なので、トレッキングのスタイルもお客さんの個性に合わせて千差万別になっていくことは当然で、数年後にやってきたリピーターの人がガイドに持っていた印象と異なる印象を持たれることもしばしば。それは、お客さんも数年で価値観が変わっていて、ガイドも同じように変化しているので、数年前とは異なった化学反応が起きていると思います。それが、また楽しいところでもあります。なので、当店ではガイドのマニュアル化はしていません。

屋久島の9割以上は森に覆われた自然が広がっています。縄文杉をはじめ、魅力あふれるおすすめのスポットを、少人数制でじっくりご案内しています。初心者の方からベテランさんまで、山好きさんたちのさまざまなニーズに合わせられるよう、創業10年目、日々たくさんの引き出しを増やしながら皆様のご来島をお待ちしています。

世界自然遺産に登録されるほど屋久島は大自然が残されています。しかし、その自然をただ歩くだけでは心に響くほどの感動はなかなか訪れません。

ゆとりのある時間 人気のない静寂な時間 自由にできる時間

この3つの時間が確保されていることがとても大切だと私たちは思っています。時間という字は「心」にも置きかえられます。3つの時間で包まれると心にゆとりがでて 心に静けさがやってきます。すると、「あの木の下に行ってみようかな」「あの川の水にふれてみよう」と自由な思いがたくさん心に湧いてきます。

その思いを一つ一つ行動に移していると、ちいさな感動が心に少しづつ沈殿していきます。その積み重ねをしているうちに いつの間にか自然の魅力にどっぷり浸かっている自分が・・・

3つの時間 自然の中ではとても大事なんです。

どんな状況であれ、できる限り、この3つの時間を創出することを心がけ、多くの方々に屋久島の自然を歩く心地よさを知ってもらえたらと私たちは思っています。

大自然の中で時間に縛られることなく、あるがままの自分に還れる。

アペルイとはアイヌ語で「火が灯(とも)る」という意味です。屋久島の大自然に触れることで多くの方に希望のあるワクワクした心の火が灯るようお手伝いする、これが当店の理念です。