屋久島現地ガイドの目線で、モッチョム岳登山のトレッキングコースの魅力を紹介するページです。モッチョム岳の見どころや、おすすめポイントをまとめています。長文がわずらわしい方は、文字は読まず写真だけをサクサクとご覧ください。
モッチョム岳ってどんな山?
屋久島の南側、尾之間にあり、割石岳(1410m)耳岳(1202m)とともに尾之間三山に数えられる、南部の代表的なお山。
屋久島の県道沿いから望める山々の中、切り立つように、巨岩が聳える、ダイナミックな山容が、突出してインパクトある存在です。
また、山の形状から、男女両性を象徴する陰陽岳とも言われ、山名由来の一説にもなっています。
モッチョム岳南壁は、七五岳北面、障子岳周辺とともに、屋久島三大岩壁とされます。
千尋の滝近辺の標高約250mの登山口から、標高944mの山頂まで、標高差が約700mあり、低山ですが、急登の連続で、険しいロープ場などもあり、「この山を登れれば、屋久島の大概の山は登ることが出来る」とも言われます。
山頂までの道のりは、険しいですが、最大の見どころは、ピークからの眺望です。
天候に恵まれれば、ピークからの大パノラマ、眼下のミニチュアのような街並みと、キラキラ輝く大海原の絶景に、疲れも吹き飛ぶほどの感動があります!
山頂の巨岩の南側には、尾之間と原集落の神様を祀った祠があり、山岳信仰の岳参りの歴史を感じます。
登山ルート上では、推定樹齢3000年とも言われる万代杉や、モッチョム太郎と呼ばれる、存在感に満ちた巨樹との出会も魅力の1つです。
モッチョム岳登山おすすめのシーズンは、11月〜5月頃。暑い時期は急登が続くと、汗を多くかき、体力を消耗するので、寒い時期ほど登山しやすいです。
縄文杉や白谷雲水峡には、すでに行っていて、日帰りで、もっとハードな登山を楽しみたいという、体力に自信のある方には、オススメのお山です。
山と高原地図でのコースタイムでは、登山口からおよそ3時間半でモッチョム岳に登頂できると記載されていますが、途中の世界遺産に登録されている森や沢は美しく、巨樹との出会いも魅力的なので、休憩や撮影の時間をたっぷりとって、当店では5時間ぐらいかけてじっくり登りつめます。(スピーディーにピークハントしたい方は、その旨お知らせ下さい。)冬は、休憩していると寒くなるので、もう少し早くなります。
トレッキング時間は、およそ10時間。往復約5キロ、標高差は、250〜944m、約700m。
登山道は傾斜もきつく、険しいロープ場や、足場の悪いところが多いので、雨の日や、登山道がぬかるんでいる時はおすすめ出来ません。以下、モッチョム岳登山の行程を写真を交えて紹介します。
モッチョム岳までの道のり
安房集落から車で30分ほど走ると千尋の滝駐車場に到着します。登山口にはトイレがあります。この先、戻ってくるまでトイレはないので、ぜひここで済ませておきましょう。駐車場から、徒歩1分ほどでモッチョム岳登山口です。出発前にぜひ深呼吸してみて下さい(できるだけトイレから離れて。笑)。たっぷり鼻から空気を吸い込むと、森の涼しい空気が鼻の中をひんやりさせてくれて気持ちいいです。そして、爽快な森の香りが鼻の中に充満して幸せな気分になれると思います。しばらく深呼吸して都会のザワザワがなくなったら、登山スタートッ!
木々に囲まれた細い道を歩いて行きます。
歩きはじめて5分ほどで、標高を表すこんな標識が出てきます。標高100mおきに、標高800m付近までこの標識が出てきます。目印にもなるけれど、「まだこれしか登ってないのか〜」というもどかしさも感じるにくい存在でもあります。笑
千尋の滝の音を聴きながら、急な道を登っていきます。
木々の隙間から、眼下には海が見え、鳥の鳴き声に癒されます。
おっ!登山道で、ニホントカゲが日向ぼっこをしていました。
こんな、ちいさな生き物との出会いもトレッキングの楽しみの1つです。
急な登りで早くも暑くなってきました。上着を脱いで、Tシャツ1枚に。「あ〜涼しい!」ふと見上げると、ヤツデ(カクレミノ)の特徴的な葉がおひさまの光を受けて、くっきりと浮かび上がり、春を感じる鮮やかな緑色がとてもキレイでした。ちょっとした休憩に見るこんな風景に嬉しくなります。
滝の音が途絶え、再び水の音が聴こえてきたら水場のサインです!
標高約600m付近にあるこの水場が、ルート上1番広いスペースで気持ちよく、休憩に最適です。
そして水量もここが最も多いので、ぜひ水分補給しましょう。
屋久島の沢の水、たまらなく美味しいですよ!
顔を洗うとさらに、リフレッシュ!
水場付近には、ヒメシャラが群生していて、木漏れ日を浴びると、幹が輝きキレイで森が明るく見えます。
そして、標高800m付近。急登に次ぐ急登で心が折れそうになる頃、眼前に巨大な屋久杉が現れます!
推定樹齢3000年、樹高13.2m 胸高周囲8、6mの万代杉。風あたりが強く乾燥した尾根に生えている為、着生木が少なく、数千年風雪に耐えてきた姿は迫力があり、見上げると思わず声を上げてしまうほどの存在感です。
質感が、造花のようでもあるサツマイナモリの白い花が、2つ目の水場付近で咲いていました。花が咲いていると嬉しくなり、なんとなく和みますね。
そして、2番目の水場のこんな標識が出てきたら、モッチョム太郎はすぐ先にいます!
こちらがモッチョム太郎さんです!尾根上ではなく、沢にも近く湿潤で万代杉とは生息環境が違い、着生植物もいっぱいで、苔に覆われ根元はフサフサですね。樹高24、5m 胸高周囲9.4m 標高820m付近。ルートから、少しそれて下ったところに生えているので、気付かずに通り過ぎないように気をつけましょう。そして、この先大きながけ崩れで、展望が開けている場所が出てきます。
山側のロープにつかまりながらゆっくり、慎重に進みましょう。
モッチョム太郎を超えたあたりからまた登りがキツくなります。下ばかり向きがちになりますが、見上げると頭上には、こんなに立派なツガの巨木が佇んでいたりするのです。こんな姿にも、エネルギーをもらいます!
ここが、このルートの最高地点になる神山展望台です。ここからは、眼前に海を望めます。このコースでは貴重な平らなスペースもちょっとあるので、休憩ポイントでもあります。
神山展望台から眼下に見えるのが、モッチョム岳の山頂です。ここからは、しばらく急勾配の下りが続き、ロープ場も多くなります。
登山道わきの倒木上の苔の中から、屋久島の固有種オオゴカヨウオウレンの小さな花が咲いていました。可憐でかわいらしいこの花の存在にも力をもらいます。
登山道上に、こんなアートが!「いい顔してるな〜」思わずクスッとなります。くたびれている時こそ、遊び心とユーモアは大切ですね!
そして、この最後のちょっと怖いロープ場を登りきるといよいよ山頂に到着です!
「うわー最高!」友人の母娘さんが、ランチをしていました。よく登ったね!良いお顔!天候が良ければ、ツアーでは、大抵ここでゆっくり過ごし、ランチタイムとなります。
山頂から、西側の斜面には迫力有る大スラブが!
山の山容と木々の緑と空の青さたまらないですね。あの雲に乗っかってみたい!
晴天に恵まれると、素晴らしいパノラマがが広がっています!
山頂の巨石の南側には海を向いて、祠があり尾之間、原集落の神様が祀られています。人々の祈りの痕跡を強く感じます。
眼下の建物や車がミニチュアみたいだ。大海原が広がっていて、雲もきれいだなー。ハードだけれど、これを見るとまたここに来たくなるのです。帰路も気をつけていきましょー!