ツガの大樹の大枝では、猿が着生木の葉をムシャムシャ食べていました。
僕も猿ならこの木に登ってみたいと思う。
投石平では、木々の中でヤマボウシの白とかすかなピンクの花が際立ち、投石岳の岩に立つ豆粒ほどに見える鹿の姿を見つけました。
稜線では、巨岩、奇岩が随所に見られる天上界をヒリヒリと差すお日様の光の中、景色に力をもらいながら進みます。
山小屋とテント。明け方には雲が晴れ沢山の星を見ることができました。
早朝、素晴らしいグラデーションの朝焼けと、朝陽に照らし出されたヒメシャラの美しさには、しばし立ち止まり、ため息が出るほどでした。
今回は、植物や自然に深い関心のあるご夫婦と、特に様々な杉をゆっくり時間をかけて観察しました。
いつも思うのですが、お客さんの視点から刺激を沢山もらいます。
同じコースを一緒に歩いていても、気付くこと、見るもの、考えることが違うんですよね。
当たり前の事なのでしょうが、それは僕にはとても大切で嬉しいことでもあります。
神奈川から和歌山、四国南部、九州、屋久島に分布する日本の特産種。
パイオニア的な性質を持ち、やや荒れた森林によく出現するそうです。
幹の美しさから、アオギリ、シラカバと並ぶ、「日本三大美幹」とも称され、ヒメシャラの材は赤っぽいかっ色で硬く、彫刻や床柱に使われるとのこと。
今回の旅では、ヒメシャラの花びらが登山道にひらひらと舞い散っていて、その白い花に心和まされました。
ムビラガイド 濱田 森