2019 3/22 標高900m付近にて撮影
縄文杉登山道の傍に、ツクシショウジョウバカマが蕾をつけていました。
近くで見ると乳白色をした蕾は柔らかで、とてもカワイイ。花がもう直ぐ咲くんだなぁと思うとワクワク!
ところが、その後直ぐそばに、2株すでに開花しているのに気づき、今年初めて見るこの花の姿に歓喜しました。
草丈5センチほどにも満たない小さな花ですが、白と淡い薄紫色の花を、宝石のように美しく感じました。
こんなことが春のヨロコビの1つです。
この花の名前の由来は、近縁種のショウジョウバカマの赤い花を、猩々(伝説上の猿に似た動物)の赤い顔に、四方に広がる葉を袴に見立てたところからきているそうで、九州に生えるショウジョウバカマという意味。
伝統芸能の能には、猩々にまつわるこんな物語があります。
中国の揚子(ようず)の里に、高風(こうふう)という大変親孝行の男が住んでいました。
ある晩のこと、高風は、揚子の市でお酒を売れば、富み栄えることができるという夢を見ます。
夢のお告げに従って、お酒の商売をしたところ、高風はだんだんとお金持ちになっていきました。
高風が店を出す市では、不思議なことがありました。
いつも高風から酒を買い求めて飲む者がいたのですが、いくら酒を飲んでも顔色の変わることがありません。
高風が不思議に思い、名を尋ねると海中に棲む猩々だと名乗りました。
その日、高風は、酒を持って潯陽の江のほとりへ行き、猩々が現われるのを待っていました。
そこへ赤い顔の猩々が現われます。猩々は友の高風に逢えた喜びを語り、酒を飲み、舞を舞います。
そして心の素直な高風を称え、今までの酒のお礼として、酌めども尽きない酒の泉が湧く壷を贈った上で、酔いのままに臥します。それは高風の夢の中での出来事でしたが、酒壷はそのまま残り、高風の家は長く栄えたといいます。
ツクシショウジョウバカマの姿から、猩々を連想するのはむずかしいけれど、名前の由来を知ると人の想像力の面白さを知るような気もします。
明日も、同じルートを行くので、今回見た蕾がどうなっているか楽しみです!
5月17日に実を発見しました。
ツクシショウジョウバカマ 筑紫猩々袴 Helonipsis breviscapa
ユリ科ショウジョウバカマ属
九州の山地に分布する多年草