〜森の宝石〜
縄文杉トレッキングの帰路、トロッコ道の枕木の端に、ヤクシマルリセンチコガネを見つけました。
「森の宝石」と呼ばれるほど体表のメタリックな光沢がキレイな虫です。
小さくて、丸っこいフォルムはなんとも愛らしく、今年初の出会いに、胸躍りました。
生息地域によって、体色のバリエーションがあり、主に赤、緑、青の3色に大きく分けられますが、稀に紫や茶褐色の個体も。
屋久島に生息するものは、瑠璃色の個体が多いことから、ヤクシマルリセンチコガネという別名が付いていますが、分類的には、オオセンチコガネとされます。
成虫、幼虫ともに、糞を食べるので、糞虫とも呼ばれ、和名の「センチ」は、便所の古語「雪隠(せっちん)」が訛ったもので、糞に集まる性質に由来。
活動期には、、ヤクザルやヤクシカなどの糞を求めて低空を飛び回り、秋には、フンの下に深い穴を掘り、その穴にフンで育児球を作り産卵。
生まれた幼虫はそのフンを食べて成長します。
〜森の掃除屋さん〜
糞虫が動物のフンを食べて、排泄すると、フンは細くなり、微生物による分解が促進され、植物の養分になり、自然界に還元されます。
また、フンの他、腐ったキノコや動物の死骸なども、食べて森を掃除してくれるので、「森の掃除屋さん」とも呼ばれます。
更に、動物のフンに含まれる植物の種子は糞虫によって地中に埋められることで発芽率が上昇し、生態系において種子分散の役割も。
奈良公園では、約1200頭のシカが、1日に排出するフンは約1トン以上と言われますが、公園がシカのフンでいっぱいになることはないそうです。
その「掃除」をしているのが、糞虫なのです。
糞虫はシカの糞を食べ、その食べかすが植物の養分になり、その植物をシカが食べます。
糞虫が食べることで、シカのフンが小さくなり、より早く分解され、ハエの発生も抑えるそうです。
糞虫と聞くと、汚いイメージがあるかもしれませんが、自然界では重要な役割を果たしてくれているんですね。
この虫に会うと、なんとなく僕は和みます。
また森で会えると良いなー。
ヤクシマルリセンチコガネ(オオセンチコガネ)屋久島瑠璃雪隠黄金虫
Phelotrupes auratus auratus
甲虫目 センチコガネ科
分布 北海道、本州、四国、九州
体長 12〜22ミリ